第276話『秩父・茶平編』VOL①さくらとダムより上のせかい!
いつもなら先に備品室(廃村さーくる)に出向き、
廊下をドタドタと走ってくる夕実ちゃんの足音・・いや騒音を迎え撃つのが恒例なのだが・・・
今日は所用で少し遅れてしまった。
ま、いいですか。たまには。
ボクは中が異様に静かなのを確認し、これはまだまだ夕実ちゃんも来てないみたいだなと、軽い気持ちでガラリと備品室のドアを開けたのです。
う・・・、目の前に広がるは『異様』な光景。
さーくるのPCの前で「カタカタカタ・・・」と、キーボードを黙々と打つ夕実ちゃんの姿がそこに、
そしてそれを後ろから眺める首塚さんがいた。
・・・ボクにはまだ二人とも気づいて無いようだ?
「あ、あの・・・二人とも・・・、・・・やっほー」
何言ってるんだボク。
「あら、菅原君。こんにちは☆」
夕実ちゃんの後ろで腕組みしていた首塚さんがようやく気づいてくれた。
「どうも」と軽く言葉を返しつつも、いったい何を調べているのか二の句を次ごうと思う間もなく、
「わきゃ? す、すすすす菅原先輩!?」
首塚さんが発した『菅原君』というキーワードに、まるで昔のホラー映画のように首だけを目一杯夕実ちゃんがこちらに振り向いた。
グキ・・・
「ううう・・・、振り向きすぎました。全力で振り向き過ぎましたです・・・。・・・すごく痛いですわきゃー・・・」
見れば分かります! ・・・危ないな~この子は^^;
「何か調べ物してるみたいだけれど、なに調べてるのかな?」
「えっちなファイルは探してないから心配しないでよ菅原君☆」
嬉しそうな顔でドキドキするようなこと言わないでください!
・・・ふふふ、お生憎様。
フラッシュメモリーに保存して避難してあるから大丈夫ですよ首塚さん♪
「いやあのですね?ネット検索で都内近郊の廃村・廃集落を探してみたんですよォ~。
たまには部員らしいことしようかと思いまして、わきゃー☆」
ほほ~、珍しいこともあるもんですな。関心関心です。
「で、何か見つかった?夕実ちゃん」
「う~んとですね~、奥多摩のほうに色々と見つけましたですぅ。峰とか倉沢がたくさんヒットしますですよ」
「おお、まあ~そのスジの人には割りと有名ところですね。
・・・でもね夕実ちゃん」
「はい、なんですかぁ? わきゃー☆」
「もう、その有名どころは廃村跡と呼べるものはほとんど無いんですよ」
『『ええ!?』』
ガッカリと驚きの夕実ちゃんと首塚さん。
「痕跡はあるにはあるのですが、整理されたり解体されたりしてたりします。
いつまでもあると思うな廃村跡地な~んて言葉があるくらいなんですよ^^;」
漫画のようにうなだれる二人、実にガッカリ感が分かりやすくていいですね。
「せっかく調べてくれたんですし、そことは違う地域ではあるけど、今度の休日に一緒に廃村を巡ってみますか?」
いつもなら「わきゃー☆ 行きたいですぅ!!!」とか「行ってあげてもいいわよ?別に」と二つ返事の彼女たちなのだが今日はなぜか・・・違った。
・・・あれ?
・・・なんで?
二人はめちゃめちゃ警戒心。
「あの・・・二人とも? い、行かないの・・・かな?」
「・・・また、えっちーな温泉がセットですかぁ?」
・・・・・・はあ?
「もしかして混浴とかのお話ですか?」
「菅原くんとどこかに行くと必ず混浴がセットだって、夕実ちゃ~んから聞いてるわよ? 実際この前の湯西川だって現にそうだったしー」
二人から思いっきり疑いの目を向けられる。
たはー^^;
たまたまなんだけどなあ。
「こ、今回は大丈夫です。何が大丈夫なのか分かりませんが。
興味があれば、日曜日の早朝に待ち合わせということで。
・・・じゃ、今日は解散です☆」
ちょちょちょちょちょっとー!と言う声を尻目にそそくさと退散です☆
そして当日を迎えることになりました・・・
「うう・・・ちょーねむねむですぅ・・・」
今にも立ち寝をしてしまいそうな表情で駅の電光掲示板を見上げる夕実ちゃん。
「首塚さんは、今日は来ないみたいだね」
あたりを見回してもそれらしい姿は見受けられない。
まあ、彼女は一応「部外者」だしね。サークルメンバーではないし。
「いえ・・・、首塚先輩ならコンビニに寄ってから来るってさっきメールが着ました。ぶーぶー!ですわきゃー・・・」
いつのまにメールをやりとりする仲に?
でも夕実ちゃんの表情はなんだか不満げだ。
ふと、後ろのエスカレーターを見やると、タッタッタ~と駆け上がってくる女の子。
「お・ま・た・せ・♪」
コンビニ袋をぶら下げた首塚さんがボク達に手を振る。
さあ、役者が揃いましたね。いよいよ出発です☆
東武線~秩父線を乗り継ぎ乗り継ぎ、掛かる事二時間半。
関東平野から秩父の山奥へと電車は揺られます。
今回は彼女たちに目的の場所をあえて言わなかったのですが、秩父線に乗り換えた時点でなんとなく察してくれたみたいです。
そう、今回目指した場所は「埼玉県・秩父」です。
「うらやまぐち? 川下りとかで有名な長瀞とかは私も行ったことはあるけど、その先の奥地は初めてよ☆」
「わわわー! ちょー私の実家みたいな、御田舎さんな駅です、わきゃー☆」
二人とも、ちょっとした遠足のような気分のようだ。
・・・まあ~、これからその遠足気分はどこかへ行ってしまうんだけどね、ふっふっふ。
ボクは彼女たちに目配せをしつつ、先頭に立って歩き出した。
「わきゃー☆ 壁から水です水ですぅ! ちょ、ちょっと触ってみますです。・・・!?
つめたーーーーーい!」
ゆるやかな道を登っていくと、道路の外壁から湧き水が溢れていた。
生活用水として使用しているんでしょう。ボクと夕実ちゃん、あ、首塚さんも青森出身か、
皆でなぜか懐かしむように、道端の湧き水にはしゃいだのでした。
今来た道を振り返ると、鉄道の陸橋が見渡せた。
さらにボク達はゆっくりと山へと歩を進める。
4月も下旬、本来なら関東圏ではサクラも終了の時期ではあるけれど、道の向こうに数週間前に見た光景が広がる。
「わきゃー☆ サクラですぅ♪」
「まだまだ咲いてるのね♪」
「うん、なんせ標高が結構あるしね。ここいらへんは今時期が丁度見ごろかもしれないね」
まあ~正確に言いますと、満開は若干過ぎているかな。
マイナス9分咲きってところでしょうかw
サクラの通りを過ぎたところで大きな陸橋に出くわす。
そして目の前には・・・
『『わああーーー!?』』
目の前に広がった景色に彼女たちは暫く見惚れてしまうのでした。
NEXT VOL②へと物語は続きます^^
この記事へのコメント
こちらも八重なら今が見頃です~
・・・と思っていましたが、どんな光景が広がったのかの方が気になりますね~!
イラストグレードアップしてません?
本当に凄いな。。。
絵心の無い僕には本当に凄いと思います!
ぎゃる魅が出てこなかったのは残念。(爆)
桜キレイですね!
いつも、楽しみにしています。
今回は、どうかな。
ワクワク。
今年はサクラを愛でる時間が少なかったので
こちらで満喫しました
里桜かなー。きれいだなー。
…え!怖い画像ありなの?
そのときは予告してね^^;怖いから~。
物語の引きはオーバーにというのが、ドラマ・映画・小説の常套手段なのでw
いや冗談ですが^^ 来年・・・もっと自分が思うとおりに描けてればいいなあ~
ぎゃる魅は、しばらくお休みですゴメンナサイ^^;
そう言っていただけるのは励みになります^^
ありがとうございます☆
山でも走るからね。じじいだけどさw
日帰りロケハンですが一応4部作予定☆
一緒に行きたかったナリ〜。
特急りょうもうがなぜかツボでしたw
いつかご招待したいと思います^^
いやそのうち行きますか^^
ただし、すんごく歩きますw
マイナス9分咲きwww^^
満開以降の表現が『葉桜』で、すべて一緒くたじゃ寂しいしw
居酒屋さんはね^^
ダムマニアの血がさわぐ~~。
バンジージャンプしたいっす。
東北地方も今、なのかな。
ダムって、雰囲気、怖いですよね…。
いや、いいですよね!
人が作れる中では最大の建造物ですもの。
オイラけっこー好きなのよ~^^
でも、ダム頂上部から見渡す世界はいいもんですぜ?